ご家族の声
「レスパイト旅行やきょうだい児キャンプで、家族揃ってアクティブになれました」
親子はねやすめ主催のレスパイト旅行に参加されたことのある長尾さん一家は、医療的ケアを必要とするさくらさん(14歳※)とお父様、お母様、弟の樹さん(10歳※)の4人家族。これまでの活動での思い出やご家族の変化などお話しいただきました。
長尾さくらさんとご家族
医療的ケアを必要とするお子さんと家族の日々
さくらは、生まれた時すでに病気を持っていましたが、実は1歳くらいまでは普通に過ごしていました。しかしその後、病気の後遺症で私たちの生活はまったくと言っていいほど変わってしまいました。脱水症状になったさくらを、車で1時間以上離れた病院へ連れて行き、処置室で4時間点滴してから帰るというような経験をしたこともあります。そのときは「これでは生活が成り立たたない」と痛感しました。それでも目の前で生命の危機にさらされてきたさくらを何度も見てきたので、その命が助かっただけでも本当にありがたいと思っています。
あおぞら診療所に誘っていただいて以来、何度も参加しています
私たち一家が親子はねやすめの活動に参加したきっかけは、さくらが長らくお世話になっている在宅医療のあおぞら診療所からのお誘いでした。2014年に開催されたレスパイト旅行に参加し、その後も弟の樹はきょうだい児キャンプにほぼ皆勤で参加しています。しいたけ狩り、稲刈り、トウモロコシの収穫といった農作業から1泊スキー旅行などのアウトドアまで、自然に触れ合う機会を数多くいただいています。
また、あおぞら診療所が毎年開催するバーベキューでも、親子はねやすめの皆さんにはお世話になっています。やはり車椅子を使用していると、時間と手間のかかるバーベキューを家族だけではやるのは難しいんです。そのため家族全員で参加できるこのイベントを大変ありがたく感じています。年に1回、同じ診療所で治療を受けている他のご家族に会えることも楽しみのひとつですね。
レスパイト旅行だからこそ、特別な時間を過ごせました
レスパイト旅行の思い出のひとつは、夫婦でキャッチボールをしたことですね。さくらはレスパイト旅行中は本当に元気で、朝から前日のビーフシチューの残りをいただくなど誰よりも食べていました(笑)。そんなさくらを看護師の方がみていてくださり、樹はボランティアの方にこれでもかというくらい遊んでいただき、ふと気づけば夫婦揃って手持ち無沙汰になっていました。日常生活では、夫婦二人だけの時間を持つことは本当に稀です。「少し食べ過ぎたこともあるし、運動でもするか」そのような感じで、二人でキャッチボールをしました。他の子どもたちと混じって私たちも遊んでいたことが、とても心に残っています。
また、樹が1泊スキー旅行に参加したときのことも思い出に残っています。樹と参加した子どもたちに「何が一番楽しかった?」と尋ねると、「子ども部屋の時間!」と言っていたんです。このキャンプでは子どもたちだけの宿泊部屋が用意されていました。子どもたちはそこでテレビを観たりかくれんぼをしたりしていただけなのですが、まるで親戚の子ども同士が親から離れて過ごすように、特別な時間を楽しんでいたことがとても印象的でした。
きょうだい児キャンプが弟を変化させてくれた
我が家は旅行好きで、さくらが小さい頃から新幹線や飛行機で遠出をしていました。機会さえあれば子どもたちにも旅行をしてほしいと思っています。実際に小学4年生の樹は沖縄15泊16日の自然体験教室に一人で参加しました。親子はねやすめのきょうだい児キャンプを通して、樹がアウトドアを嫌がらず楽しめるようになったのです。
また、樹がきょうだい児キャンプの農作業体験に参加して、収穫したものを自宅に持ち帰ってきてくれます。それをさくらや私たちが食べて喜ぶ姿に樹がやりがいを感じているようです。最近では「大きくなったら、親子はねやすめの活動にボランティアで参加しようかな」と言っています。
これからの親子はねやすめへの期待
今後も親子はねやすめには、在宅医療と連携した家族全員で参加できるイベントの企画を期待しています。例えば普段は、外出先でさくらが急に具合が悪くなったら夫婦どちらか一方が先に帰宅し病院に連れて行く、バリアフリーに配慮したお店が探せず食事が別々になる、観光スポットでは車いす対応が難しいなどの理由でさくら班・樹班に別れるなど、とにかく家族が別々に行動せざるをえないのが現状です。なので、医療スタッフのサポートを受けながら家族揃って過ごせる時間が持てるとうれしいです。これまで「どうにかさくらを元気にしてあげたい、笑わなくなってしまったこの子を笑わせたい」そんな想いから家族で頑張ってきました。これからも、もっと家族4人で過ごす時間をつくっていきたいと思っています。
(※インタビュー当時)